[KineJapan] Iwamoto Kenji on Koreeda

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Mon May 28 06:46:20 EDT 2018


Iwamoto Kenji wrote a very interesting reminiscence about teaching
screenwriting (!) to Kore-eda at Waseda. Here's the link:

https://www.waseda.jp/inst/sgu/news/2018/05/25/3446/

But I'm pasting the text, since this page is doomed to disappear for sure.

Markus

*“誰も知らない”? 監督の若き日*

是枝裕和さん、カンヌ国際映画祭のパルムドール受賞、おめでとう!
私はたまたま貴君の卒論を担当したので、私的な回想から始めましょう。
貴君は学生時代には文芸科に所属しており、私は演劇科の教員だったのですが、私は文芸科の「シナリオ研究」を持たされていました。シナリオ作家でない私は、シナリオの歴史や形式の諸相に関する演習をやっていたと思います。私は個別のていねいな指導をやっていなかったので、出来上がった貴君の卒論のユニークさに驚き、その後ずっと記憶に残りました。それは日本映画の一般的シナリオ形式とはまったく異なる、独自の創作形式を採ったスタイルであり、アメリカのコンティニュイティ形式(撮影用台本)に貴君の絵や引用絵(だったかな?)をコラージュした、「読む+見る」、たいへん面白いシナリオだったからです。すでに監督の眼で書いていたのでしょう。
卒業後、テレビマンユニオンへ入った貴君は、ときおり自作番組の映像をテープ(VHSの時代!)で私に送ってくれました。社会の弱者へ焦点を当てた貴君のまなざしは以後も一貫しています。社会派の硬さやイデオロギーの押し付けはなく、優しく繊細な眼が背後にありました。その視線は最初の劇映画『幻の光』以降も続いていますね。
ところで数年前、私は世界的に知られる北京電影学院で集中講義をしたことがあります。大教室での質疑応答の時間、受講生たちから熱心な質問が集中したのは、なんと貴君に関することでした。中国で是枝監督は小津安二郎の後継者とも言われるが、私はどう思うかと。私は、戦後の小津監督は家族崩壊の予兆を描いたかもしれないが、是枝監督はそれ以後を描いている。崩壊後の家族のあり方を凝視し、社会の中での融合を問いかけているのではないかと。
私見がそれほど的外れではないことを望みつつ、貴君の今後のさらなる活躍を祈ります。

*岩本憲児(早稲田大学名誉教授)*
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*Markus Nornes*
*Professor of Asian Cinema*
Department of Screen Arts and Cultures, Department of Asian Languages and
Cultures, Penny Stamps School of Art & Design

*Department of Screen Arts and Cultures*
*6348 North Quad*
*105 S. State Street*
*Ann Arbor, MI 48109-1285*
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